木材(乾燥材)について。
ちょっと前になりますが、木材の乾燥(乾き方)について、また次回に・・とのコメントを書きましたが、
その続きを・・とのご要望をT様、H様よりいただきました。 すいません、連日の暑さにより、すっかり
忘れておりました。 ということで、前回に引き続き、木材の乾燥について少々・・・。
さて、乾燥材の重要性はご理解いただけたとして、なぜ乾燥材を使わなければならないかを
ちょちょいとご説明。
木材の水分が抜けていく過程で、材の収縮や変形、割れなどが発生することは、木の特性なので
ある程度は仕方のないことですが、木の家の構造材などに使用する場合は、あらかじめ含水率20%
程度まで下がった材料のなかから選別・選定する事で、そのリスクを避けることが可能になります。
しかし、そうでない場合(含水率が高いまま)は、家の構造となってしまってから徐々に乾いていくので、
なかなかやっかいな問題が発生してしまいます。
特に、木が乾く過程として、木口 (こぐち:木を切断した断面部) からの水分蒸発量が著しいため、
それに伴う木の変形・収縮・割れが主に木口付近に発生しがちになります。
この部分が木口 (こぐち) :写真は弊社ストックヤード県産杉構造材 H240 の梁材。
では、この木口付近、家となったときには、いったいどの部分に該当するのでしょうか。
じつはこの部分のほとんどすべてが、柱と梁、梁と梁、桁と柱、桁と桁など、構造の重要緊結部分に
見事に該当。 またその部分は、木と木を強固に接合する為の構造金物を必ず使用する位置でもあり、
木組みの家の最重要部といってもいいでしょう。
もうおわかりかとは思いますが、この木組みの最重要部で、しかも家となってしまってからの木材の
乾燥による、収縮・変形・割れが発生してしまっていたらどうなるのでしょう・・・。
いざという時、その部位の構造金物はちゃんと働いてくれるのでしょうか・・・。
地震などにより、その部分に応力が集中したとき、接合部破断等を招きはしないでしょうか・・・。
このような懸念があるため、決して見た目だけではなく、木組みの前に木材含水率を下げておく必要が
あるわけです。その他にも木の乾燥変形による住宅への影響は、床のむくり、床鳴り、建具の開閉不具合、
など様々。 このようなリスクは やはり事前回避したいものです。
家の第一条件は、先ずは命を守るボックスであること。
供給サイドの考えとして必須であろうと考えています。
しかしながら、留意したいのは、乾燥工程による木の収縮や、過大な割れ、変形が発生してしまった材料
のすべてがNGではないということ。 さすがに構造材としては使用できませんが、引き直し、小割りを行い
内外部の下地材、その他補足材としてきっちりと使い切ることが大切です。
まじめな木を、まじめに使って、まじめな木の家はできるのだろうと思っています。
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