M邸・材料検査。
出ました!
恒例の木材・材料検査。 本日はみんなで仲良く山へ。
この材料検査があるということは、近く上棟があるということ。
M邸の加工前の材料選定にみんなが総力を結集し木材を吟味していきます。
乾燥が終了した県産杉の梁材を並べ、先ずは木口のチェックと末口、元口のチェック、
そしてどちらを上向きに使うのかを吟味。 つまり木の 『背』 と 『腹』 を見分け、適所に分配。
( これは梁材なので 『背』 を上向きに使用したいのです )
次に、何処にどの梁を使うのかを優先順位をつけながら決めていきます。
そして厳正なるチェックを経た選ばれし者たちはその 『背』 に番号をつけられていきます。
それから・・・・・。
いまさら言うまでもありませんが、含水率のチェックは必須。 高周波含水計で厳密に全数をチェック。
今回の梁もすこぶる良質で、色合い、木味ともに杉 本来の性質を損なう事なく水分だけをじっくりと
落してあります。 もちろん内部割れ、表面割れも無い状態で! まさに合格!
この含水率チェックもなかなか面倒な作業ですが、家をつくる前にこの木材含水率を落としておかないと
あとでエライことになってしまうんです。 まず木材含水率30%以上の状態だと腐朽菌が活性化・・・・・。
そんな状態の木材は論外としても、実はもっと注視すべきことが・・・。
実は木材って、含水率35%の状態から20%まで乾いていく段階の この15%がとっても重要なんです。
なにが重要なのかを教えちゃいますと、・・・
『木材の乾燥過程において、内部の水分移動によって起こる木の変形が、一番激しく発生する』
のが、じつはこの15%なんです。 興味のない方はいまいちピンとこないかもしれませんが、
木の家供給サイドにとって、これはかなり重要なポイント。 つまり・・・。
含水率35%以上の木材・・・・・ 申し訳ないですが木の家構造材として加工工程には入れません。
ただしこの段階までは収縮・割れ等の外形変化はほとんど無し。
含水率35%くらいの木材・・・・・ 一見、乾いているようだがまだまだその本性見えず。
これからの乾燥過程で収縮・割れなどの外形変化が発生します。
含水率30%くらいの木材・・・・・ 乾燥による外形変化発生中。
このあたりからその木の本来の性(しょう)が如実に現れます。
含水率25%くらいの木材・・・・・ だいぶ乾きましたが、もうちょっと心配。
このくらいになると木の個体差がはっきりと目視判定できます。
含水率20%くらいの木材・・・・・ 乾燥による外形変化はほぼ止まりました。
この段階で、初めて木の目合いや、等級、使えるもの、使えないものの
選定に入れます。いくら立派な木でもこのレベルの含水率まで下がって
なければ木の家の構造材としての使用はむずかしい。
木の家の構造材ならば、先ずは安全側に立って、含水率。
木の目合い、木肌、木味、等級、などの自慢大会は、少なくともこの
土俵にあがっている事が大前提です。
含水率20%以下の木材・・・・・ 実は厳密にいうと木材ってまだ乾いていくんです。
木の家となってからも6~7年をかけて最終的に13~18%まで
落ちていきます。ただし20%以降の外形変化はごく微小で、ミクロ
の世界。
木材には総じて上記のような性質があり、無垢材ならではのやっかいな面もありますが、 と同時に
無垢材ならではの替え難い良さがあるのです。
それでは何故、事前に木材含水率を下げておくことがそんなに重要なのでしょうか?
その答は、木材の乾き方にあるんですが、この続きは次回に!
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