県産杉の強度実験。
今日は午後から、鳥取県林業試験場にお邪魔をいたしまして、県産杉の公開強度実験に立ち会って
まいりました。 県産の杉を使用しての設計、施工、はたまたお客様の財産形成を担う立場の者として
今回の公開実験はどうしても見ておきたい!見届けたい!との思いから、カメラ、含水率計測器を手に
いざ試験場へ・・。(といっても車で10分くらいのところ)
今回の公開実験は杉の梁材に機械での人工荷重をかけていき、どの程度で破壊をむかえるのか、また
どんな破壊のしかたをするのか、検証してみようじゃないかというもの。
もちろん、試験体は含水率20%以下のれっきとした県産杉乾燥材4000×120×240。
いやはや 非常に興味深い・・・。
試験体(杉)をマシンにセット。 3等分点4点荷重方式で上から圧力をかけていく。
ぎゃーっ! たちけてー! 悲鳴をあげる杉に容赦なく荷重を加え続ける・・・。
この時点で約5.5トンの荷重圧力が・・・。 えっ、梁材一本でこんなに耐えるの?・・・・。
バキーン。 ついに壊れた・・。 この梁材は、一本でなんと7トン超えの荷重に耐えた。
7トン400キロくらいで加圧試験終了。
こんなふうに年輪が裂けるように・・・。
よしよし・・・よーーく頑張った・・・。立派だったぞ・・・。
実際の木造住宅の形態で、一本の梁にこれだけの鉛直荷重がかかることは、まず物理的にありえないですが
きちんとした乾燥材(D20)であれば県産の杉もかなりの曲げ強さを保有していることがわかります。
そして、壊れ方もバキッと脆性破壊するのではなく、年輪に沿って粘りながらの靭性破壊を起こすことも
確認が出来た次第。 何トンもの荷重を一本の木材にかけてみる・・・なんて事は会社にある道具や、ましてや
人力などでは到底不可能なので、こういった公開実験などの場は非常に有意義なのであります。
杉を使用した構造設計や或いは意匠設計・施工に携わる以上、『壊れる』というネガティブな現象であり実証
ではありますが、やはりこの実証データをつぶさに見つめ、自己の日常の業務へフィードバックを行うことが
大切だろう と思うわけであります。 こういった実験結果等から、鳥取県も杉の適正な構造スパン表を近く
作成されるとのことですが、構造的な安全性確立の側面からも歓迎すべきことですし、設計者にとっても
長らく待ち望まれていたことであろうと思います。
ますます利用しやすい県産杉材となることを望んで止みません。
Profile